【20代、家族持ち旧車オーナー】

今思うと、タイミングがかなりおかしかった。
S2000を納車したばかりで、犬が2匹いて、夫婦どちらも2ドアクーペ。「さすがにこのままはキツくなるよね」って話になって、妻の86を売ることになった。
そこから「犬用のことも考え積める車」という話になった。
妻は第一声
『ワンボックスは嫌。乗るなら古めで面白い車がいい。』と
そこで私は持てる知識を使い色々とプレゼン(私も気になる車笑)を行い。
お眼鏡にかなったのはジムニー(JA22)
ジムニーは50〜70万くらいだったが
86が思ったより高く売れ、気づいたら
「あれ、3台目としてずっと欲しかった旧車、いけるんじゃないか」って話になっていた。
人生の大きな買い物って、だいたいこういう流れで起きる気がする。
毎日、中古車サイトをうろうろしていた

候補はかなりバラバラだった。
- いすゞ117クーぺ/ベレット
- トヨタTE27トレノ
- Fiat 124 スパイダー / 初代パンダ
- MG MGB
- フォルクスワーゲン ゴルフ Mk2
- Volvo 240
- Honda インテグラタイプR DB8
実用性を考えるならボルボ240か
4ドアのDB8だった。
特にDB8は、妻があの薄い顔のデザインをかなり気に入っていた。
でも自分は昔からジウジアーロがデザインした車が好きで、せっかく旧車に乗るなら
あの角ばっていてどこか滑らかな、そして古いのに未来感がある感じがずっと頭から離れなかった。
その中でも特に好きだったのがジュリア系。
カーセンサー、エンスーの杜、SEIYAA、ヤフオク。毎日うろうろしながら、「さすがに予算的に無理かな」と思い続けていた。
“古い車は、触れば動く”と知っていた
旧車を買う後押しになったのが、数年前の経験だった。友達と、いつも行っているショップの社長と一緒に、不動だったRX-7 FC3Sを直したことがある。

自分一人で全部できたわけじゃない。でも「古い車って、ちゃんと触れば動くんだ」って感覚がそこでかなり変わった。
原因を探して、部品を替えて、調整して。それだけでちゃんと戻ってくる。しかもジュリア系は「古い車の割に部品がかなり出る」という話をあちこちで聞いていた。
「最悪、自分でもなんとかやれるかもしれない」。その感覚は、踏み出す時にかなり大きかった。
連絡手段はメールだけ。
価格は応談。


片隅みたいな感じで載っていた。
そんな時、あるショップを見つけた。
連絡手段はメールだけ。価格は”応談”。
写真も二枚ほどしかない。
この時点で少し怖い。「いくらするんだ……」と思いながら聞いてみたら、想像していた金額より3割くらい安かった。
予算の”ちょい上”。絶妙に諦めきれない値段。
最初はボルボ240を見に行くついでに寄るつもりだった。
気持ちとしては「買う気1割、見てみたい9割」
でも本音は、憧れの車を見られるというだけでかなり浮かれていた。
ボロかった。でも、光って見えた。

サイドミラーは外されていた。
実際に行ってみると、やっぱりボロかった。埃も被っていたし、ドアとフェンダーには普通に穴も空いていた。決して”綺麗な旧車”ではない。
でも不思議と、全体の雰囲気はかなり良かった。
フロアパンは思ったより綺麗で、塗装の状態も年式を考えるとかなりいい。
ただの”終わってる個体”ではない感じ。
隣には、かなり綺麗な段付きジュリアも置いてあった。
色も本当に良くて、客観的に見たら段付きの方が圧倒的に魅力的だったと思う。
でも「これ、自分の車になるかもしれない」と思った瞬間、不思議と穴の空いた1750GTVの方が光って見えた。
多分あの時点で、かなり心を持っていかれていた。
「別にうちで買わなくてもいいんだよ」
さらに印象的だったのが、お店の人だった。もっと営業っぽい感じを想像していたけど、全然違った。
「他も見た方がいいよ」
「近くの店も行ってきなよ」
「別にうちで買わなくてもいいんだよ」
昔気質の職人さんみたいな人。押し売りはしない。でもプライドはあるって感じ。
そして値段を再確認した時、こう言ってくれた。
「お兄ちゃん若いんでしょ?お金ないでしょ?でも乗りたいの?」
笑いながら、「俺も若い頃、全く同じ前期の1750GTV乗ってたんだよ。これよりもっとボロかった。床も穴空いてたし、ヒーヒー言いながら乗ってた。憧れだけで乗ってたよ」って話してくれた。
そのあと「ドアもフェンダーも、できるだけ直しておくよ。値段はメールで言った額でいいよほんとうにほしかったらまた連絡してよ」と。
セブンのサマセットが「この街では感情を持つなよ」って言いながら、結局最後まで諦めない動き方をするじゃないですか。あの人はそういうタイプだった。無愛想に見えて、一番誠実だった。
「あ、この人なら信用できる」と思った。
帰り道、夫婦で全く同じことを考えていた
そのあと、240を見に行った。もちろん良い車だった。実用性を考えたら、多分かなり正解。
でも帰り道、ずっと頭にはジュリアだった。
「ボルボも良い。でもあの値段出すなら背伸びしてジュリアだ」
そう思いながら、二人のお金のことを考えると自分だけでは言い出せなかった。
だから飲み込んで「どうだった?」と聞いた。
そしたら妻が先に、
「ジュリアが良すぎた。240も嫌いじゃないけど、ダントツでジュリアだった」
ボルボを見ている間もずっと思い出していた、と妻は言った。
見た目がかっこいいかどうか。それだけが妻の基準で、その答えはとっくに出ていた。
もっと言えば二人とも店の方の雰囲気にも惹かれていた。
ニヤつく顔を必死に抑え
『そっか、だよね。もうちょっとだけちゃんと考えよう。』
と心にもないことを言って冷静さをなんとか保っていた。
“今逃したら、一生乗れない”
そこから数日話し合って、買うことにした。その時はまだ、子供ができることも知らなかった。
「今逃したら、多分一生乗れない」
不安がゼロだったわけじゃない。でもそれ以上に「このタイミングを逃したくない」という感覚の方が強かった。
あの時買ってなかったら、今でもずっと
「いつかジュリア乗りたいな」って言っていたと思う。
「退屈な車に乗っている時間は一秒たりとも無駄だ」ってどこかで聞いたことがあるけど、逆に言うと乗りたい車に乗れない時間も、同じくらい無駄な気がしている。だから動いた。
おまけ:横浜2桁ナンバーの話

見に行った時、そのジュリアは横浜の2桁ナンバーだった。
お店の人に「横浜に知り合いいない?2桁ナンバーだけは金出しても買えないからさ」と5〜6回聞かれた。
惜しいことをしたし、なぜか少しだけ申し訳ない気持ちではあります。
結局ナンバーは変わったけど、今でもたまに思い出す。
まとめ
- 86が高く売れたことで、旧車購入の現実味が急に出てきた
- FC3Sを直した経験が「旧車は触れば動く」という感覚を作ってくれた
- ボロかったけど、光って見えた。あの時点でもう決まっていた
- 帰り道の車内で、妻が先に「ジュリアが良すぎた」と言った
- 「今逃したら一生乗れない」。それだけだった
旧車を買うのに、正しいタイミングなんてたぶんない。
「今じゃない理由」を探し始めたら、永遠に乗れない。
同じように悩んでいる人がいたら、コメントしてください。一緒に考えます。

